2010年10月31日日曜日

第14回 秋の木もれびコンサート        平成22年10月31日(日)



 10月31日(日)、午後2時より「第14回 秋の木もれびコンサ-ト」を開催しました。今回はフル-トとギタ-のアンサンブルです。フル-トは群馬交響楽団第一フル-ト奏者の中條秀記さん、ギタ-は当コンサ-トではお馴染みの草場学さんです。

 中條さんが初めてこの会場で音出しをされた時、とても音が大きいのにびっくりしました。フル-トの音が建物の隅々にまで行き渡って、建物全体が響いているような感じでした。私もフル-トを吹くのですが、こんな風には鳴らないな・・さすがプロの音です!楽器は安曇野のアルタスフル-トの18Kだそうです。




〈前半〉

E.エルガー/ 愛のあいさつ               

G.フォーレ/ 子守唄 ~組曲「ドリー」より~ 

H.ヴィラ=ロボス/ ブラジル風バッハ第5番「アリア」   

P.O.フェルー/ 3つの小品より「JADE(硬玉)」 (フルート独奏)

武満 徹/ 巡り ~イサムノグチの追憶に ~(フルート独奏)

A.ピアソラ/ タンゴ・エチュード 3番 (フルート独奏)

日本民謡/ 小諸馬子歌 (フルート独奏)

J.S.バッハ/ フルートソナタ ハ長調 BWV1033

 初めの3曲はフル-トとギタ-のデュオ。美しく優しい小品はもちろんですが、ヴィラ=ロボスのような中南米系の曲もフル-トとギタ-には良く似合います。

 フル-トの独奏は、小諸馬子歌のような民謡も含め、いろいろな雰囲気の曲があります。わざと音を震わせて激しく吹いたり、詰まったような音で吹いてみたり、音程をずらしたり、きちんと正しく吹く以外の様々な奏法が使われます。初めて聴く人には、フル-トのイメ-ジがくずれるかもしれませんが、かなり自由にいろんなことができおもしろいです。バッハのフル-トソナタはとてもきれいな曲で、ギタ-の優しい音色とよく合い、気持ちの良いアンサンブルでした。

〈後半〉

J.ロドリーゴ/ 祈りと踊り (ギター独奏)

A.ピアソラ/ タンゴの歴史

Ⅰ.Bordel-1900

Ⅱ.Cafe 1930

Ⅲ.Nightclub 1960

Ⅳ.現代のコンサート

 草場さんのギタ-ソロも冴えてましたね。今回のメインの曲、ピアソラの「タンゴの歴史」。フル-トとギタ-の曲としては有名ですが、CD以外で4楽章とも全部聴いたのは初めてです。これはアンサンブルというより男同士のバトルといった感じの演奏で、すごく迫力がありノリが良くおもしろかったです。お互いに相手の出方を見ながら曲の流れを作っていくのがわかり、息もぴったり合ってました。これが初顔合わせとは思えません。

 中條さんのフル-ト、オ-ケストラで吹く時のような金らしい華やかな音、バッハに似合う美しい音、日本的なメロディにぴったりの渋い音、現代曲を表現するための複雑で深みのある音、ピアソラの激しい音・・ひとつの楽器で様々な音色を吹き分けて演奏しているのを聴いて、フル-トってこういう楽器だったんだ、と認識を新たにしました。

 フル-トとギタ-というと優しく美しいイメ-ジを持つかもしれませんが、今回は期待を裏切る(?)男同士の熱く激しい演奏でした。演奏者の息づかいをすぐ近くで感じることができるのもホ-ムコンサ-トならではです。アンコ-ルの武満徹の映画音楽「不良少年」も素敵な曲でした。

 お2人の相性も良かったようで、普段の会話のようなやりとりもおもしろく、かなりぶっちゃけた感じの楽しいコンサートでした!熱演してくださった中條さんと草場さん、お疲れ様でした!!次回の共演を楽しみにしております。

 50人近いたくさんのお客様、中條さんのご家族も松本からおみえになり、また、私たち夫婦の学生時代のフル-トの先輩も長野県から聴きに来てくださいました。信州からのお客様を迎えて開催できた今回のコンサ-ト、私たちにとってもとても嬉しい演奏会になりました。遠路はるばるお出かけいただき本当にありがとうございました